ご挨拶
同情するなら本をくれ!
どうも、うさうさです。
うさうさは人間界で暮らすうさぎです。
図書館で司書として働いています。
公務員ではありません。
これ重要!
そんなうさうさが出会った本たちを紹介します。
修理をしていたら
図書館の本は沢山の方が手に取るので、破れたり、ページが外れたりします。
その場合、まだ読める本は修理をして、
また元の棚へと送り出します。
ある日、うさうさは一冊の本を修理していました。
写実的なキツネさんが表紙の絵本です。
見ると、ページの下部が少し破れています。
修理用のテープを貼ると、破れは直りました。
ただ、完全に元に戻った訳ではありません。
テープからジグザグと破れた跡がうっすら透けて見えます。
ふと見ると、ページのキツネさん悲しい目をしていました。
「読んでくれ」とうったえかけているようです。
気になったうさは、仕事が終わるとその本を借りて帰りました。
今回ご紹介する本は喪失から立ち上がるキツネさんのお話です。
フォックスさんのにわ
概要
この本は大切なわんちゃんを亡くした、キツネのフォックスさんのお話です。
この本に出会った時、うさもまた、大切な人とお別れしたばかりでした。
そして、すごく刺さりました。胸に、ズサリと。
あらすじ
フォックスさんと いぬはいつも一緒。
一番のお気に入りは、一緒に庭仕事をすること。
ところがある日、突然の別れが……。
悲しみ、友情、希望、そして自然の力を描いた絵本です。
いつも一緒
キツネのフォックスさんは いぬと一緒に生活しています。
ふたりは何をするにも一緒。
一緒に遊んで、おやつを食べ、同じ音楽を聞いて、冒険にもでかけます。
なかでも一番のお気に入りは、一緒に庭仕事をすること。
毎日楽しく暮らしていました。
幸せな日々に、笑みがこぼれます
突然の別れ
しかし、幸せな日々は、突如終わりを迎えました。
大切ないぬは、空へと旅立ってしまったのです。
何もかも変わってしまいました。
フォックスさんは悲しみ、やがて心が荒れてしまいます。
気がつくと、大切な庭をたたき壊していました。
「もう にどと、しあわせいっぱいの にわにならないのなら」と
恐ろしい、不気味な庭に作り変えてしまいます。
喪失による不安定な心が
忠実に描かれています
自然の力
ある日、塀の下からカボチャのつるが伸びてきました。
くきはとげとげ、葉っぱはぼさぼさ、巻きひげはくねくねしています。
不気味なこの庭にお似合いだと思ったフォックスさんは、
かぼちゃのつるをそのまま放っておくことにしました。
自然の力は凄いもので、カボチャはどんどん成長していきます。
フォックスさんも段々と、カボチャのお世話をするようになります。
秋の収穫祭
季節が移り、カボチャは立派に成長しました。
秋の収穫祭が近くなってくると、
フォックスさんに懐かしい気持ちが戻ってきます。
それは「わくわく」とした気持ちでした。
収穫祭当日、カボチャを車に載せ、町へ出掛けます。
収穫祭のお手伝いをして、美味しいものを食べ、
お喋りもしました。
前と全く同じではないけれど
「たまには でかけるのも いいものだ」
と思えるようになってきます。表情が少し明るくなってきました。
賞品
フォックスさんのカボチャは三等賞をもらいました。
賞品として十ドルか、箱の中の こいぬ一匹を選べるそうです。
迷うことなく十ドルを選ぶのですが、
箱の中からひっかく音が聞こえてきて……。
箱の中が気になる……。
おわりに
「出会いがあれば別れがある」なんて、
ありきたりな言葉では拭いきれない悲しみ。
きっと誰しもが経験すると思います。
そんな時、本が支えになるかもしれません。
破れたページは完全には元に戻らなくても、
以前とは同じように笑えなくても、
傷を抱えて少しずつ立ち上がれるかもしれません。
そんな本を今後も紹介できたらな、
と思ううさうさでした。
ハロウィンまでに間に合わなかった……!